北鎌倉の紫陽花を楽しむ3 東慶寺 [日常のなかで]
明月院を出た頃には雨は既に止み、雲の切れ間から青空ものぞいている。気温湿度ともにあがり、粘度が高くなった空気が体にまとわりつく。腕を振り、足を進ませるごとに空気の抵抗を感じる。梅雨らしい梅雨だ。しかし今年の梅雨は例年より気温、湿度が高いような気がする。東慶寺まで粘度の高い空気の海を泳ぐように歩いた。
ここにも理の花がある。思わず平家物語の一説を口ずさむ。
白い紫陽花が綺麗だ。清楚な白が目に眩しい。
見事に純白の紫陽花。品格さえ感じる。
雨上がりの紫陽花は艶やかで、東慶寺の紫陽花も見事だ。ただ、紫陽花の絶対量は明月院に比べれば少ない。
境内の紫陽花も綺麗だ。明月院のような一面の紫陽花ではないが、他との調和が取れている。(明月院の紫陽花は他との調和は無く、全てが紫陽花だ)
苔蒸した風合いが見事だ。
境内中ほどには菖蒲園がある。
なかなか綺麗だ。この菖蒲園を愛でながら茶が飲めるよう、茶屋があるが、残念だが先ほど飲んだばかりだ。今回は諦めよう。菖蒲園の周囲にもいろいろな草花がある。
つい指先ではじきたくなるような愛らしさ。
奥までゆくと緑が眩しい空間になる。緑が綺麗なのは良いが、視線を下にすると・・・周りは墓石。怖がりだから、あまり長居はしたくない。戻ろう。
もう一度紫陽花を愛でる。葉の上の水滴が涼しげだ。見るだけで清涼な風が吹き抜けるようだ。
名はわからないが、素晴らしい香りだった。透明感のある白い花びらも素敵だ。
いい加減、腹も減った。せっかく鎌倉に来たのだ、蕎麦を食べて帰ろう。十割蕎麦を。さらに気温が上昇した鎌倉を北鎌倉から鶴岡八幡宮方向へ歩く。歩くたびに毛穴から汗が吹き出る。皮膚の上で水滴となっている。紫陽花の葉の上の水滴は涼しげだったが、腕の表面の水滴は暑さが増す。