江戸の時代から続く店でおしぼり蕎麦を食す 千曲の蕎麦2 鶴忠 [信州の蕎麦]
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確かに隠れ家なんだけど、でも・・・ 小諸の蕎麦 隠れ蕎麦処 あいの風 [信州の蕎麦]
今日の出張は信州の小諸だ。佐久ICを降りて小諸方向に向かう。雪少なく、幹線道路に雪は無かった。
浅間山の雪も軽めで寒さを感じさせない。
佐久ICから小諸側に走り 、18号を目指す途中に何時も気になる看板があるのだ。今日こそは行ってみよう。(いつも佐久に来ると、ついついガツンと蕎麦が食べたくなって佐久の草笛に行ってしまっていたのだ)
看板に従って路地に・・・・かなり奥まっている。目立たない場所にあるためか幟と看板がよく目立つ。
ただ・・・・・目立つのはいいけど幟以外は♡ホテルの看板みたいだ。
至って統一感のない二つの店。チグハグは感じで並び建つ
蕎麦屋は左側。こちらは隠れ家っぽい外観と大きさだ。期待できるのか?期待したい。でも、右側の建物が隠れ家の雰囲気を壊している。右側の建物の1Fは中華料理店だ。
蕎麦屋入口上には・・・・浅間山麓の霧下蕎麦粉で手挽きの粉らしい。こっこれは・・・・期待できるぞ!
入ってみると・・・・蕎麦屋っぽくない。・・・・・新聞は片づけましょうね、机の上に置きっぱなしはいけません。
薪の香りに誘われて目をやると。・・・
薪ストーブ。山小屋の隠れ家、良い雰囲気だな。
今日は先客がいた。11時15分に入店したのだが、先客がいたのである。美味しいのか?この店は当たりなのか?先客は団体さん。地元の婆さんグループで元気におしゃべりしていた。耳が遠いのか声が大きい・・・・
ここは婆さんたちの隠れ家だったのか。でも、一寸うるさいぞ・・・><
お茶は緑茶、そういえば某蕎麦屋ではタンニンの成分が蕎麦の風味を殺すため緑茶はありませんと張り紙がしてあったのを思い出す。確かに緑茶より蕎麦茶の方がいい。
ふと見ると・・・テーブルの上には中華の香辛料セットが・・・蕎麦と餃子のセットでもあるのか?
品書きは壁に。なんだ、普通の蕎麦ばかりだ。テーブルの上にも紙で品書きがある。キワモノはこっちかな?見ると・・・
普通の蕎麦の品書きだ。何っ!限定だと!手挽き蕎麦は限定だ。限定・・・・なんて甘美な響きなんだ。選ばれた者のみが得ることができるもの。それが限定。迷うことは無い、これに決定!
オーダーすると・・・・今は無いとのこと。何時あるのだ?聞くと、客さんの少ない時期は作っても捨てることになってしまい勿体ないから客さんの多い時期(土日とか、雪が少なくなってきたとき)に打つらしい。
限定ってそういう意味だったのか・・・残念 (T T)
いまあるのは石臼挽きの蕎麦。セイロの大盛りにした。そういえばザル蕎麦とセイロ蕎麦の違いはなんだろう?聞くのを忘れてしまった。セイロに乗るかザルに乗るかの違いだけだったら楽しいな。ザルのほうが若干量が少ないのか?
サラダが出される。柑橘系のドレッシングでさっぱり美味しい。でも蕎麦食べに来てサラダは嬉しくない。体が冷えるし。
蕎麦がなかなか来ない。先客グループの分で忙しいのだろうか。と、思っていたらサービスの一品をいただいた。砂肝が美味しかった。コリアンダーの香りとセロリの香りも高く、ビールでも欲しくなる味だ。
あの~、嬉しいのですけど、これから蕎麦を食べるのですが・・・いただいた品の香りは蕎麦の香りを確実に凌駕する。このタイミングで蕎麦が来たら一寸辛いかも。(砂肝とかコリアンダー、セロリも大好きだから食べてしまったのだ)
先客グループにも皿ものが出されていた。セットものかな?ランチもの?品書きに無いようだったけど裏メニューかな?
うおおおおお、来てしまった・・・・茶で口直し・・・って、緑茶じゃん、タンニンがやばい、飲めない・・・
太くしっかりした蕎麦だ。さっそく手繰る。太めだから喉越しは良くは無い。香りはどうだ?太いわりに蕎麦の香りが上がってこない。感じられないのだ。さっき食べた香草のせいかな?咀嚼して蕎麦の甘みを探し出す。ん~ん、それも弱いような気が・・・
コシもあり、噛み応えはしっかりして噛み切るときに顎に伝わる感触がプチって感じで心地いい。太い蕎麦だが硬すぎず、食感もいい。
薬味。山葵を舐めてみる。山葵の香りが少ない感じだ。瑞々しさが不足か。葱は綺麗だ。
汁を味わおう。少量口に含み舌の上で転がす。・・・甘い。やや薄めの汁で最初に甘みがやってくる。甘みが引いた後にはダシの香りが残り、そして爽やかさを伴って喉の奥に消えてゆく。喉に引っかからず丸く優しい味わいだ。ただ重みは少ない。ワインで言うところのライトボディか。
一寸気になったのは蕎麦の太さにバラツキが・・・・箸でつかんでいる蕎麦とその下側に写る蕎麦、結構違う。
蕎麦を汁に漬ける。汁が薄めだから蕎麦の9割方を汁に漬けて啜る。蕎麦の甘みは汁の香りと一体化して喉の奥に落ちてゆく。蕎麦の香りと甘みを汁が出してくれた。が、蕎麦の外観から想像する程香りと甘みを感じられない。風邪でもひいたかな・・・
ふと婆さんグループに目をやると・・・・暖かい蕎麦を啜っている。でも麺が変だ。変わり蕎麦か?良く見たら・・・ラーメンだった。さらに見ればテーブルの上の皿には中華料理が・・・・隣の中華屋とつながっていたのだ。それでテーブルの上に中華の香辛料があったのだ!・・・・・一気に興ざめしてしまった。
小屋風の建物、薪ストーブ、大通りからかなり奥に入ったロケーション、隠れ家的な条件は整っていたのに・・・・隠れ家的蕎麦を楽しむのは日常空間から離れて蕎麦を食べたいからだ。それなのに目の前にラーメンがあったら一気に雰囲気は日常だ。これでは隠れ家は名のれない。
蕎麦湯、オーソドックスな器で好感が持てる。
蕎麦湯はオーソドックスなタイプ
最後にまたサービス品。杏仁豆腐。ソフトタイプの杏仁豆腐はブルーベリーの酸味と良く合う。なるほど、いただいたサービス品は中華の品々、ごちそうさまでした。
長野県小諸市御影新田1949-6
℡0267-23-5804
定休日 火曜日
11:00~15:00 / 17:00~21:30
ガツンと大盛り 佐久の草笛(再訪) [信州の蕎麦]
酒屋の蕎麦 千曲の蕎麦 蕎麦料理処 萱 [信州の蕎麦]
今回の仕事は埼玉と群馬の県境。翌日は上越で仕事がある。仕事はとっとと片付けて上越に少しでも近づいておこう。宿泊は千曲市に設定した。千曲といえば”おしぼり蕎麦”といわれる辛味蕎麦を食べたい。夜に営業している美味しい蕎麦屋はないかな・・・・・戸倉駅周辺を彷徨っていたら匂った!振り向くと酒屋が。わらぶき屋根の渋い建物の酒屋。良く見ると蕎麦の字も・・・・・
駐車場は店の横。休業中のGSだ。
酒屋正面に行くと・・・・蕎麦屋の入り口は別らしい。
なんだ、反対側だ。
中は座敷のみ。結構部屋数は多い。 和室がいくつもある。女性向きかな。昼下がりに千曲マダムたちの憩いの場になっているのかも。
畳は落ち着くな・・・・・・・。
サイドメニューにまず目が行った。そばプリンはアガーで固めてあるそうだ。蕎麦餡をアガーで固めるということは”そばプリン”とは蕎麦餡の水羊羹なのか?
そばがきぜんざい。 どう見ても確かに蕎麦がきだ。蕎麦団子ではない。
蕎麦ロールまで・・・・・・・やはりな。憩いの場だ。
蕎麦の品書きを見よう。といっても頼むのは決まっているが。
十割蕎麦で辛味蕎麦を作ってもらう。そしてそばがきぜんざいも頼んだ。
まずは蕎麦茶で口を潤す。
これが”おしぼり蕎麦”
十割の蕎麦、細打ちで綺麗な蕎麦だ。
蕎麦のみで啜る。蕎麦の香りが心地いい。咀嚼して甘みも確認。噛み応えも弾力があって顎が気持ち良い。 啜るごとに広がる蕎麦の香りを楽しんだ。
これが”ねずみ大根”のすりおろしの絞り汁。凄く辛い、そのままだと結構咽る。
マイルドにするには味噌を投入。味噌の甘みが汁をカバーしてくれる。
つけあわせ。
さあ、味噌を投入。少しづつ混ぜて味を調節・・・・・・・・
蕎麦を汁に浸けて手繰る。この汁だけはしっかり浸す。辛味が美味しいから。啜ると・・・・蕎麦の香りの後で猛烈な辛味が湧き上がる。咽そうになるのをこらえながら咀嚼してゆくと舌の上にほこっとした味噌の甘みが感じられる。 さらに咀嚼すれば味噌の塩気が蕎麦の甘みを引き出し、味噌と蕎麦の甘さがなんとも良い味だ。この”おしぼり蕎麦”、このあたりでしか食べられないのは残念だ。
そばがきぜんざいも運ばれてきた。
蕎麦団子ではない。蕎麦がきだ。汁粉より蕎麦の方が多い
表面の感じは艶やかで美味しそうだ。頭に蕎麦の実。
そばがきを食べよう。弾力があり、もっちりした感じの蕎麦を口の中に。蕎麦の香りがガツンとやってくる。美味しい。汁粉が少ないのが問題だ・・・・・でも、主役はあくまで蕎麦。だから餡が少ないのかも。
蕎麦湯を要求したら蕎麦湯と共に普通の汁も出てきた。せっかくだから味見しよう。
口に含む。柔らかく優しい汁だ。甘めだが薄口だからくどくない。最初に感じるのは甘み、酸味はその後から。締まった汁ではないが、今度は普通の蕎麦をたのんでみたくなった。
長野県千曲市大字戸倉1855-1
026-276-7205
11:00~20:00(日曜は19:00)
定休日 第一第三月曜
******おまけ*****
埼玉と群馬の上里での仕事をやっつけ、次の目的地の千曲まで18号を走った。碓氷峠で紅葉をちょっと楽しもう。
松井田妙義Iから軽井沢の間にある碓氷峠は旧道を選択した。旧道にある何の説明も要らない建造物。実に味わい深い。コンパクトデジカメだと上手く色が出ないな・・・・・
旧道には碓井湖もある。ちょっと覗いたら紅葉が良い感じだった。下まで降りよう。
宇宙人のような・・・・・
赤いベロを出しているような・・・・・
碓井湖の紅葉。まだ浅いが良い感じになりかけている。
良い感じに染まってきたな
碓井湖の外周1200mにわたって遊歩道がある。三つの橋と一つのトンネルを楽しみながら1周してみた。
碓井湖の紅葉もようやく始まった。見た目では綺麗なのだがコンパクトデジカメにとっては雨上がりの光のなか、若干靄った遠景は辛いらしい。うまく色が表現できない。
旧道を軽井沢に向けて走る。濡れ落ち葉がブラインドコーナーの先に溜まっている。バイクでは怖いな。
旧道沿いの紅葉
ヘアピン
軽井沢を抜けて、今日の宿泊先、戸倉の上山田温泉に向かう。
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さて蕎麦も食べた、ホテルに行こう。ここはビジネスHのくせに源泉温泉がある。しかもかけ流しだ。戸倉出身の友人に聞いたら一言、”水張って湯をわかすより温泉引いたほうが安上がりなんだ”という。
そっそうなのか?・・・
ホテルの温泉の効能書き。硫黄泉は好みだ。
ホテルにチェックインして温泉三昧をした。大好きな硫黄泉だからか?のぼせるほど入ってしまった。一寸のぼせがひどいのでラップトップを止めてipadに切り替えた。ベッドに寝転んでブログをやっていたら・・・・やって5分は記憶にあるのだけど・・・・・・いつの間にか爆睡してしまった。気付いたらAM4:00。
更新がぁ~
素晴らしく香る蕎麦 長野須坂の蕎麦 手打ちそば処 小杉 [信州の蕎麦]
締まった汁で喉越しの良い蕎麦を食す快感 諏訪の蕎麦4 富士見高原 手打蕎麦 眞 [信州の蕎麦]
もり蕎麦一品のみで勝負する 諏訪の蕎麦3 手動石臼挽き十割蕎麦 花 [信州の蕎麦]
本日は諏訪へ出張だ。諏訪に気になる蕎麦屋がある。”蕎麦屋 花”、手動の石臼挽きの手打ち十割蕎麦なのだ。蕎麦は八ヶ岳麓産限定ときている。HPを見つけたが、いろいろ拘っているようだ。またHP上の品書きがいい。
・・・・・お品書き・・・・
もりそば 1500円
だけだ。おや、当店のそばについて、との題で記載がある。
当店はもり蕎麦一品の店でございます。手動の石臼で、8名様分の製粉に約3時間を所要している蕎麦粉の十割蕎麦。玄蕎麦を自家製粉しています。蕎麦粉(挽きぐるみの全粒粉)を水こね手打ちにしています。一般に石臼の回転摩擦熱により蕎麦の香りが失われるとされているため。毎分6回転以下~毎分12回転以下と低速回転で5度製粉しています。云々・・・・・・・
十割蕎麦と申しましても、つながりの悪い一番粉(更級蕎麦、変わり蕎麦)を使った湯こね十割蕎麦、つながりの良い二番粉、三番粉を使った十割蕎麦、もっとつながりの良い三番粉のみを使った十割蕎麦など多種にわたります。当店の全粒粉の十割蕎麦は一番粉から二番粉、三番粉、四番粉、五番粉を全て使い込んだ全粒粉の水ごね十割蕎麦です。云々、云々・・・・・・・・
はい、判りました行きます、行かせていただきます。という気分になる。それに文面からすると蕎麦は一日8食、せいぜい20食ぐらいしか作れないだろう。だからこそ高い価格なのか。HP上の写真だと隠れ家っぽいし、楽しみだ。
しかし、三番粉までは他店の品書きにその名を見かけたことはあるが、四番、五番は初めてだ。これはかなり野趣あふれる強い蕎麦なのだろう。四番、五番まで使い込んで、食感、喉越しは大丈夫なのだろうか?
諏訪ICを降り、諏訪大社上社に向かう。諏訪大社上社の東参道側鳥居から100mの位置にある。一日に供する蕎麦の数が心配で開店に合わせて到着する。
幟がいっぱいだ、店はこじんまりとしている。わりと新しいようだ。
入り口前の看板が無言の圧力をかける。これを見て引き返す人も多いだろう。もり蕎麦一品のみの店と高らかに宣言し、1500円というインパクトを与える。これで平然としている人は、蕎麦好きか余程の無神経か、セレブだけだろう。(尤もセレブが盛り蕎麦など食べないか)
”もり蕎麦、1500円”などという文字を見ると、逆に興味が湧いてしまう。普通の蕎麦の倍の価格だ。これで美味くなかったら詐欺である。無論店主も承知だろう。ならば食べさせていただこう、1500円の蕎麦を!という気分なのだ
暖簾にある文字は”そ”?、花なんだろうな、きっと。
開店と同時だから誰もいない。内装は蕎麦屋というより山小屋風でウッドが多用され、高原のペンションの食堂という感じだ。テーブル、椅子もしかり。BGMは松任谷由美がエンドレスで・・・・。ご趣味なんですね。テーブルの上のマットも蕎麦屋とは思えない。洋食屋さんに居るみたいだ。蕎麦ではなくハンバーグランチでも注文しようかという気分になる。
ご主人が来て心配そうに言う”うちは盛蕎麦しかありませんが大丈夫ですか?”と。聞けばやはり看板をみてUターンしてしまう人が多いそうだ。そりゃそうだ。
この店は昨年の冬に出来たばかりという。蕎麦は日に8食から16食しか作れず、それゆえに1500円になってしまうそうだ。手間隙かかって16食で、そこから利益をキープしようとすると価格は高くなるのは当たり前だ。でも、自分の大雑把な計算では1500円だと赤字なんだが・・・。
茶と山葵の葉の炊いたのが出される。山葵は好きだが、山葵の葉も大好きなのだ。クレソンみたいな感じで、とても美味しい。苦味と辛味と香りが素晴らしいから。とくに清涼感ある香りは最高だ。この炊いた山葵の葉も清涼感が鼻に抜け、喉にほのかな苦味が残しながら喉の奥に消えてゆく。美味しい。
一応、品書きはあった。必要ないのでは?箸は割り箸ではない。これは好感が持てる。
割り箸の質にもよるのだろうが、割り箸だと口に入れたときに箸の匂いを感じる。その匂いが邪魔で、蕎麦の香りが味わえない。また、口に入れたときに感じる割り箸の味も邪魔だ。だから割り箸が出てくる店は、蕎麦を食べる前に茶の中に割り箸の先を入れ、十分に湿らせておくのだ。こうすると割り箸から出る匂いや味が少なくなる。
汁と山葵が来た。山葵は本山葵だ。嬉しい。
すりおろそう。する度に山葵の香りが立ち込める。一寸舐めてみると香りが口いっぱいに広がり、鼻に抜けた辛味が涙腺を刺激する。たまらない!最近まともな山葵にありついてなかったから。
少しすりおろして、残りはそのままかじろう。
かなり存在感のある蕎麦である。細いのに存在感がある。一番から5番まで使った蕎麦は色が黒く、見るからに力強い蕎麦である。蕎麦のみで啜る。なんという香りだろうか。素晴らしい香りが口のなかに一杯に広がる。十割蕎麦で啜ったときから香りが立つ蕎麦は初めてだ。4番5番まで練りこんで香りが強くなっているのだろう。咀嚼すると甘みが増してくる。しかも食感がよい。十割で強い蕎麦、店によっては食感が悪いのもあるが、4番粉5番粉まで使用してこの食感、素晴らしい。しかも喉越しも問題ない。蕎麦のみで食べても問題ない味わいで、油断すると蕎麦のみで啜り続けて食べきってしまいそうな程、香りがいい蕎麦である。
表面は粗いが喉越しはいい。しかも香りが高く食感も心地いい。1500円の価値はある。そうだ、汁、汁を忘れていた。汁を口に含む・・・・・・・・なんだ?これは???。塩が強い。でも汁自体は薄いのだ。塩が強い薄い汁。甘み、コク、旨味が少ない。ダシの香りと塩気のみだ。これは好みではない。ダシの香りは感じるが旨味がなく、コクもない。こんな汁にあの強い蕎麦は無理だろう。一応蕎麦を汁に浸けて食す。ダメだ、完全に喧嘩している。汁が蕎麦の味を引き出さず、それどころか拒絶している。汁の味に調和がなく、各味がバラバラになっているような感じだ。これでは1500円の価値は無い。蕎麦に汁を少し浸けて啜ると、汁のコク旨味がなく、また味が薄いため物足りない、また汁によって蕎麦の香りも隠れてしまう。汁を多めに浸けて啜ると、塩気が強くどうしようもない。どのように扱ったらよいのか判らない汁だ。ふとテーブルの端を見る。
おお、塩だ。塩がある。この蕎麦に粗塩かけて食したら美味いだろう。さっそく試す。美味い。甘みと香りがより引き立ってくる。結局ほとんどを汁無しで食した。蕎麦は美味しかったが、汁が残念だ。ここまで特徴のある蕎麦だけにもったいないと思える。
ティーポット?ではなく、蕎麦湯である。蕎麦湯はあっさりとしていた。
ここの蕎麦をもう一度食べたいと思う。しかし、汁はいらない。この蕎麦、いっそ辛味大根の絞り汁に味噌を溶いて、それに浸けて食べたら美味しいだろう。そう、おしぼりの汁にも決して負けない、いや、むしろ引き立てあうだろう。そう思える。
残った山葵をかじりる。口の中が清涼感で一杯になる。強い蕎麦だった。山葵をかじった後も喉の奥から蕎麦の香りが立ち上ってくるようだ。
しっかりした噛み応えと香り立つ蕎麦 諏訪の蕎麦2 手打ちそば処 福よし [信州の蕎麦]
薄い汁に飽きる 諏訪、岡谷の蕎麦 石挽きそばや わかば [信州の蕎麦]
富士山のごとくそびえる蕎麦 佐久の草笛 [信州の蕎麦]
蕎麦をガツンと食べたくなり佐久の草笛に行く。
迷わず大盛りのもりを頼む。
店の人が尋ねる”お客さん前に頼まれたことありますか?当店の大盛りは量が多いので、初めての方は中盛りをお勧めします”と。
たしかに量が多いのである。蕎麦は桶に入ってくるが、富士山のごとく山に盛ってある。
最初に注文したときはずいぶん上げ底だと思い、箸を桶に差し込んだ。
???箸がずぶっと底に到着。上げ底じゃない!全部蕎麦だ!と感激した覚えがある。
以前に完食した旨を伝え、蕎麦の到着を待つ。
運ばれてきた蕎麦を間髪いれず手繰る。
時間をかけるわけにはいかない。延びれば蕎麦は増殖しフィニッシュが難しくなる。
蕎麦は喉越しがよいタイプではあるが、腰があり、顎は疲れる。
薬味はネギ、山葵、大根おろしが付いてくるが、最初は汁のみで進める。
あいだあいだに山葵を舐めながらひたすら蕎麦を手繰る。
何も考えてはいけない。ひたすら蕎麦を手繰るのみである。
半分を過ぎたあたりで一本目の汁がなくなり、二本目の汁を使う。
(汁は二本ついてくる。別に二人で食べるわけではない。)
ただ無心に蕎麦を手繰る。顎が疲れてきた。途中勢いあまって二度ほど頬に肉をかんでしまった。
底が見えてきた。しかし気を抜いてはいけない。完食するまで、ただ無心に手繰る。
汁には何も入れずに食べた方が完食しやすい事は過去の経験で学んだ。
何となく、TVでよくやっている大食い大会に参加しているような気分になれる。
完食した。そば湯を飲みながら膨満感でいっぱいの胃に至福のひとときを感じる。
昼に食べた後、夕飯がいらない程に腹が膨れる。
聞けば1Kg超あるそうだ。
ガツンと蕎麦を食べたくなった時はこの蕎麦。