通好みの二種盛りなのか? 熊谷の蕎麦 十割蕎麦 藍 [埼玉の蕎麦]
熊谷の仕事の最終日は昼前に片付いた。
仕事のコンプリート祝いだ。さっそく蕎麦を求めて彷徨う。
帰り道とはちょっと逆方向だが、早く終わったから行ってみよう。蕎麦 藍
140号を進む。途中407号にかわる。17号と17号BPを越えてさらに進む。
MAPFANの地図を確認しながら交差点の名称を確かめ注意深く走る。
店は407号沿いには無いから交差点の名称のみが頼りだ。
ようやく目的の交差点を見付け、右折する。と、すぐに看板はあった。
ここも右折し店に到着。
入り口を入るとエントランスだ。
もう一つの扉を開け、店にはいる。室内はテーブル席が四つ、あがって板間に机が四つほど。
板間にあがる。
板間の机は高さが低い。
お茶はほうじ茶。
時間が早いせいか客は他にいない。
茶を啜りながら品書きを確認する。
二種盛り?これだろうな。でもこの二種は福井産と北海道産の二種だという。
普通よく聞く二種盛りは細打ちと太打ちとか、粗挽きと普通のセイロとかである。
産地の違いで二種とは面白い。
二種盛り1000円を頼みしばし待つ。障子越しの冬の日差しが心地よい。和紙を透過し乳白色となった柔らかな光は目にも穏やかだ。
この穏やかさは思考を停止させ時間が止まったような気分にもなる。
単に風邪美味が抜けないだけかもしれないが。
蕎麦が来た。
まずは福井産だそうだ。
蕎麦はかなりの細打ちで、ほんのり緑がかった色をしている。
さっそく蕎麦を啜る。喉越しもよい。
が、机の高さが低すぎる。ちょっと手繰りにくい。
蕎麦は極めて細いせいかちょっと頼りなさも感じる。が、咀嚼すれば蕎麦の甘味がでてくる。
汁を確認する。
辛口だが酸味が多めで香りもやや強めだ。辛めでもキリッと締まった感じはなく、柔らかな印象を受ける。
蕎麦を汁に少し漬け、手繰る。汁によって蕎麦の甘味が強調される。
ここで口直しに山葵を舐める。
山葵は味、香りともに申し分無い。薬味には辛み大根もついており、これも嬉しい。
山葵と辛み大根の香りと蕎麦の甘味をしばし楽しむ。
と、まだ半分しか食べ終わっていない状態でもう一枚の北海道産がでてきた。
これはいただけない。もうちょっとタイミングを見計らってもらいたいものだ。
太い田舎蕎麦であればまだしも、細打ちだと焦る。
急いで完食し、次の北海道産にとりかかる。
これもかなりの細打ちである。
蕎麦の色は福井産と異なる。手繰ってみると香りが口の中に広がる。
北海道産の方が香りが高いように感じる。咀嚼してみれば甘味が出てくる。が、福井産の方が強いか?
そんな気がした。気がしただけかもしれない。
同じ細打ちである。無理に違いを見つけ出そうとした結果かもしれない。
そう、細打ちと太打ちとか、粗挽きと普通のセイロのような明確な個性の違いは無く、僅かな差である。あえて二種盛りにする必要性はあるのだろうか?
蕎麦の太さは同等、産地の違いの僅かな差を楽しむための二種盛りとは、通好みの二種盛りというのだろうか?
正直なところ細打ちと太打ちとか、粗挽きと普通のセイロのような二種盛りのほうが判りやすく味も楽しめる気がする。
などと考えていると蕎麦湯が来た。これは濃い蕎麦湯で蕎麦湯のみでも香りと甘味があり美味しい。
美味しい蕎麦であったが、はたして二種盛りの違いが正しく感じられたか、と、今ひとつ確信が持てないまま帰路の車のなかでずっと考え込んでしまった。
(再訪)舌の上に満ちあふれる蕎麦の甘み 深谷 石臼挽き十割純手打ち蕎麦 遊歩 [埼玉の蕎麦]
今週の出張は熊谷。これは遊歩の他の二種類の蕎麦を試すチャンスだ。
さっそく向かう。
茶と蕎麦の揚げたものが今日は辛い。なぜなら先週から風邪気味で胃の調子が悪いからだ。
というものの、やはり蕎麦の香りには弱い。
一つつまめば、香りと塩味につられてしまい後を引く。胃の痛みと相談しつつ、もう一本、もう一本とついには完食してしまった。
メニューを見るまでもなく注文。
甘味粗挽き蕎麦(限定十食)とおかわりとして普通のセイロをオーダー。
一人前(750円)におかわり蕎麦(500円)となる。
まず粗挽きから出てきた。
粗挽きとはいっても、見るからにつぶつぶとかではなく、若干粗いかなといった感触である。
まず蕎麦を確認する。意外に喉越しは悪くなく、蕎麦の香りが咀嚼の度に増してくるのが判る。
山葵と辛み大根を舐めつつ蕎麦を味わう。
山葵の香りも申し分ない。嬉しい。美味しい山葵はしばらくぶりだ。
汁も甘くなく、辛くなく丁度良い。田舎蕎麦(極太打ち)でも負けなかった汁である。
細打ちと合わせるとどうか、楽しみにしていた。
さっそく試す。細打ちでも蕎麦が負ける事は無い。
汁の香りが蕎麦の甘味を引き出し、咀嚼の後喉の奥へ送り込むのが勿体なく感じる。
甘味粗挽き蕎麦を完食するタイミングでセイロが出される。
こういった気遣いは嬉しい。
まず、蕎麦のみで。
啜ると蕎麦の香りが粗挽きより強く感じる。
咀嚼したときに感じる甘味は粗挽きの方が強いようだ。
汁と合わせる。汁は蕎麦の甘味を増やす。
蕎麦に汁を少し付け啜る。啜った時には蕎麦の香りが口の中に広がり、啜り終わり咀嚼すると蕎麦の甘味が舌の上に重なる。
粗挽きと普通のセイロではセイロの方が好みだ。
蕎麦を堪能し、蕎麦湯で締めくくる。
これで遊歩の三種の蕎麦を確認する事ができた。
こだわりを具現化した十割蕎麦 郡山の蕎麦 手打ち蕎麦 わき水 [会津の蕎麦]
会津での仕事も金曜日の午前中でコンプリート。
帰りはどこの蕎麦にするか考える。いっそ会津ではなく郡山というのも良さそうだ。
調べると郡山インター近くに”わき水”という蕎麦屋があり、そこが良さそうだ。
が、場所が分かり辛そうだ。MAPFANで細かく調べてみるが、判り辛い。
まあ、レンタカーにはナビが付いているから大丈夫だろう。
郡山インターを降りて、注意深くナビを見ながら進む。
インター降りてから49号を左折合流し、すぐを右折のようだ。
が、右折しづらい。いったん次の信号までゆき、Uターンしてみる。
今度は左折になるわけだが、どこを左折か判らない。ナビを見ながら低速で行くが、ナビのタイムラグもあって行き過ぎた。だが、今の所で左折する道あっただろうか?
何度も往復しながらナビと左折場所を探すと、道というよりどこぞの敷地のような道があった。
看板もないから本当に判り辛い。もしナビが無かったら挫折してしまっていただろう。
細い道を入ってゆくと看板があった。がこれまた小さい。
なんとか到着した。
蕎麦屋然とした建物ではなく、普通の住宅を改造した造りである。
ロケーションといい、店構えといい隠れ家的なところが好みだ。
室内は普通の住宅そのもの。
まず、小鉢が出される。蕎麦を揚げたものだ。塩加減も丁度良い。
食べながら、お茶が無い事に気付く。見回すと蕎麦茶とわき水のポットがありセルフサービスとなっている。
品書きを確認する。
大盛り(950円)とそばがき(500円)を頼む。
品書きの裏には蕎麦についての説明書きがある。
蕎麦がきた。ご主人が蕎麦についての口上を述べる。
本日の蕎麦は山都産で、付いている汁は二種類。赤い方は大根のおろし汁で、小さい方は辛み大根のおろし汁。まずは、それぞれの大根のおろし汁のみを付けて召し上がってください。
次に汁を加えて楽しんでください。2種類のおろし汁と汁のブレンドもよいでしょう。
また、こちらの天ぷらは山菜で、このモンゴルの岩塩を付けてお召し上がりください。
この岩塩を蕎麦につけるのも美味しくいただけます。
とのこと。
辛み大根の絞り汁と普通の大根の絞り汁
天ぷらと岩塩。
さて、まずは蕎麦のみて食す。
蕎麦は太すぎず、喉越しも良い。かといって細すぎて頼りない事も無く啜れば蕎麦の香りが楽しめる。
岩塩を付けてみる。塩が蕎麦の甘みを引き出し、塩蕎麦もよいものだと悦に浸る。
次は普通の大根おろし汁。美味しいが、やはり頼りない。辛み大根の方が良いだろう。
辛み大根の汁を付けて食す。美味い。高遠蕎麦となるわけだが、辛み大根の辛みが蕎麦の甘みを引き出してくれる。
汁を確認しよう。ん?器が無い?しょうがない大根の絞り汁を飲み干して、その器を使おう。
ここで重大な間違いを犯した事に気付かず、大根の絞り汁を飲み干した。
ここ数日風邪気味で大根の絞り汁が飲みたくなっていたせいもあるかもしれない。
汁を器に入れ、舐めてみる。
辛い!塩辛いのである。塩味が先にきて酸味、甘みが沈んでいる!何故だ?
ここで先程の重大な過ちに気付く。
大根の絞り汁を飲んではいけなかったのだ!ここにこの汁を加えて丁度良い具合になるように重くしてあるのだ!だから汁専用の器が無かった。
結局、辛み大根の絞り汁に汁を少し入れて高遠スタイルで楽しむ事にした。
蕎麦湯が来た。蕎麦湯はサッパリと後口がよい。
蕎麦湯で汁を割って、あらためて汁の味を確認していると蕎麦がきが来た。
蕎麦がきには辛み大根の入った汁とエゴマのタレが添えてあり両方で楽しむ。
ふんわりと美味しそうな蕎麦がきだ。
エゴマのタレと、辛み大根の入った汁
早速蕎麦がきだけを食してみる。
ふんわりとしてネットリとした蕎麦がきを口の中に運ぶ。
口の中に蕎麦の香りが広がり、甘みが舌の上に重なり合う。
辛み大根の入った汁に付けてみる。辛み大根の辛みが蕎麦の甘みを引き立て、甘みと汁の旨味が一体となって喉を通り過ぎる。美味い。
次にエゴマタレを付けてみる。
甘塩っぱいエゴマ味噌タレは蕎麦がきと非常に合う。
以前餅にてエゴマ味噌タレを食べ美味かった記憶があるが、蕎麦がきにもよい。
蕎麦の香りと味噌の塩っぱさ、甘さが絶妙であった。
ふとテーブルの隅に目を向けると、新聞の切り抜きコピーやら、取材を受けた雑誌のコピーやらがあり、目を通す。
何でも、主人の前職は教員で、リタイア後趣味のそば打ちで蕎麦屋を開くに至ったが、ここを開店するにあたって10年間のみ開店し、70歳になったら別の事をやりたいと結んであった。
趣味で蕎麦を打ち、自分の理想の蕎麦を求めた。その過程で得た結論が大根のおろし汁に汁を混ぜるといったスタイルなのだろう。これは賛同できる。確かに汁に山葵を溶くと、山葵の味ばかりが前に出てしまい、蕎麦の香りや甘みを感じ辛い気がしていたのだ。
普通の大根おろし汁なら辛み刺激は少なく香りも強くない。つまり蕎麦の邪魔をせず、またその清涼感が蕎麦の香りを引き立てるのだ。
この記事の日付が記憶では2004年だったから、十年とすると2014年、あと4年しかない。
いや、実に勿体ない。あと4年といわず蕎麦を打ち続けていただきたいと思わずにはいられない程満足できる蕎麦だった。
山里のはしご蕎麦 会津山都の蕎麦 萬長 と やまびこ [会津の蕎麦]
今回の出張は会津。
しばらく停止させていた機械を再度動かしたいという注文だ。
景気が多少は戻ってきたのだろう。
身をおく業界は景気サイクルの振幅と周期がはっきりしていることで有名な業界だが、そういえばサイクルの上昇期に入ったと思われるといった記事が日経にも出ていた。
で、仕事に取り掛かったのは良いが、しばらく止めていた機械である。想定外な部位が不具合を起こし交換が必要だ。やはり機械というものは動かしておいた方が調子が良いのである。稼動の極端に少ない機械とか長期間止めていた機械はタチが悪い。
よって部品が届くまで仕事にならない。午前中で客先を出て昼ごはんだ。
何にするか?(いや、どこの蕎麦にするか?が適切な表現か)
どうせ今日この後は、HOTELに戻りHOTELのネットワーク使って事務仕事で書類と格闘するだけである。
ならば一寸長めにランチの時間を取ろう。ということは会津市内ではもったいない。どこだ?
喜多方の蕎麦も良いと聞く。ならば喜多方だ。
喜多方の山都というところが有名らしい。また、宮古地区というのがあり、ここは村の半数以上が蕎麦を打っているらしい。これは行かねば。
山都駅からさらに9km近く山中へ入る。
ようやく到着。看板がある。
なるほど、村の各家が描いてあり、赤く書いてあるところが蕎麦を打っている家との事だ。
おぉ、多くの家で蕎麦を打っている。
どこに入るか?ん?それ以前にひと気がまるで無い。
だれも外を歩いていないし、車も通らない。
聞こえる音もない、音が雪に吸収されているのか?それにしても無音だ。
何か不思議な感覚すら感じる。それは、この世には自分一人しか存在していないような、そんな気分。
とりあえず看板の有る家を覗く。暖簾もなく灯りも無いようだ。休業?
ひととおり各家の前から覗いてみたが営業しているようには見えない。
ひょっとして水曜日は休業日か!
(翌日あらためて調査したところ、宮古の蕎麦屋はほとんどが完全予約制(2~3日前までに予約)であり、予約無しでOKな蕎麦屋も”予約無い場合13:00まで”との但し書きがあった。(これでは仕事の合間には無理だ。)
水曜日はどの家(蕎麦屋)も予約がなかったのだろう。雪の季節の平日だから予約なくて当然だ。
考えてみれば、このような山里で飛び込みの客はそうは来ない、予約制にしたほうが効率的だろう。特に今は雪に埋もれる季節だ。一人蕎麦を食べに来ようなどという物好きはそうはいない)
本当に静かな山里である。また機会があったら来てみよう。
宮古地区以外に一の木地区も良さそうだ。
残念ながら時間の都合もある。しょうがない帰り道がてら山都町内に戻ることにする。
萬長に入ってみる。
ここは会津市内の和田や桐屋とともに会津蕎匠会(あいづきょうしょうかい)に加盟している。
さっそく入ろう。しかしお食事処と書いてあるのが気になる。”手打ち蕎麦処”ではなく”お食事処”
暖簾をくぐると、味噌ラーメンの匂いだ!なんてこった!まあいい、入ったし何か食おう。
蕎麦のメニュー以外にもラーメンや丼、定食などが充実している。
蕎麦は井戸水のみで打つ十割蕎麦と書いてある。高遠もある。
そういえば昨日から喉が痛い。風邪気味なのだろう。
ならば大根おろしがよさそうだ。高遠を頼むが怖いので並盛(730円)
蕎麦は悪くなさそうだ。
辛味大根の搾り汁と生醤油が付いてくる。
蕎麦は若干透明感がある。蕎麦のみを啜ると、喉越しがよい。が香りはさほど立っていないが悪くない。
辛味大根の汁に付けて啜る。美味い!辛味大根の汁だけで美味い。
一寸口直しに山葵~って期待できないよな、と思いながら箸の先に付け舐める。うん、期待どおりに外れだ。これは想定内だから特に腹は立たない。
ここで辛味大根の汁に生醤油を少し入れてみる
蕎麦を汁に付けて啜る。これは!?甘い!甘いのである。辛味大根の辛味が生醤油の甘さを生んでいる。
甘みだけではなく生醤油の旨みが生きている。醤油臭さは微塵も感じられない。
蕎麦湯はサッパリと。
まあ、美味かった部類なのだが、食べている間味噌ラーメンとかの匂いが鼻に付いたのが残念だった。
やはり蕎麦は蕎麦(他にあっても饂飩)のみの店が良い。
なにやらモヤモヤが取れない。
えーい、もう一軒だ!萬長では並盛だったので一寸足らない。もう一枚くらい食べたいものだ。
元祖手打ち蕎麦 やまびこ なる店を見かけ飛び込む。
ここも十割蕎麦だ。盛750円を頼む(大盛りは350円増しで、おかわりは580円増し)
店内は蕎麦屋らしくあり、蕎麦以外のメニューは無い。あぁ、気持ちが寛ぐ。
蕎麦が来た。盛なのになんやら乗っかっている。
右上の舞茸の天麩羅はサービスとの事。すごく嬉しい。舞茸の天麩羅は好物だ。
それ以外に、冷奴と椀。この椀のなかは水蕎麦だ。
水に自信があるのだろう。この地区の井戸水(又は湧き水)は周りの景色を見れば美味いのは確実である。
ということは、この冷奴も・・・・・・。豆腐は水が命とどこぞで聞いたような。
水蕎麦を啜る。いい喉越しの蕎麦だ。香りはさほど立っていないが、水がいい。
蕎麦を手繰る。透明感があり、若干平べったい。
香りの立ちはさほどない。喉越しは良いがちょっと水っぽい気がする。
切り方も一寸ご愛嬌の太いものが混ざる。ここまで太いのがあると、何か当たりを引いた気がする。
シラスのパックに入っていた小さいタコやイカ、蟹を見つけた時みたいで。
気になるのは、蕎麦の水がしっかり切っていないことだ。
よけい水っぽく感じてしまう。
サービスの舞茸を食す。汁に少し付け、かぶりつく、美味い!なんという肉厚だろう。美味すぎて写真を撮る事を忘れてしまった。
地元で取れたものなのだろう。実に美味かった。
山葵は見るからに期待できなさそうで、結果はやっぱりって感じになった。
山里の家庭で打つ蕎麦が原点なのだろうから山葵もこんな感じなのだろう。
この地区では素朴な蕎麦を楽しめばよいのだ。
汁の味を確認する。
やや薄めだが甘さが先に来て、魚の香りが強い。酸味、塩気は少なく、素朴な汁。
蕎麦を汁に付け啜る。
蕎麦の香りが高くないから汁の香りで食す感じになっている。
気取らない、農家で食べ続けられてきた蕎麦。
まさにそんな感じである。
蕎麦湯もサッパリとした後口が良いタイプ。
でも、やっぱり蕎麦の香りが口の中に充満し、咀嚼のたびに蕎麦の甘みが舌の上に重く加わっていく蕎麦が食べたいな。
あと、舐めると清涼な香りが体を突き抜ける山葵とキリッと締まった汁で。
しばらく停止させていた機械を再度動かしたいという注文だ。
景気が多少は戻ってきたのだろう。
身をおく業界は景気サイクルの振幅と周期がはっきりしていることで有名な業界だが、そういえばサイクルの上昇期に入ったと思われるといった記事が日経にも出ていた。
で、仕事に取り掛かったのは良いが、しばらく止めていた機械である。想定外な部位が不具合を起こし交換が必要だ。やはり機械というものは動かしておいた方が調子が良いのである。稼動の極端に少ない機械とか長期間止めていた機械はタチが悪い。
よって部品が届くまで仕事にならない。午前中で客先を出て昼ごはんだ。
何にするか?(いや、どこの蕎麦にするか?が適切な表現か)
どうせ今日この後は、HOTELに戻りHOTELのネットワーク使って事務仕事で書類と格闘するだけである。
ならば一寸長めにランチの時間を取ろう。ということは会津市内ではもったいない。どこだ?
喜多方の蕎麦も良いと聞く。ならば喜多方だ。
喜多方の山都というところが有名らしい。また、宮古地区というのがあり、ここは村の半数以上が蕎麦を打っているらしい。これは行かねば。
山都駅からさらに9km近く山中へ入る。
ようやく到着。看板がある。
なるほど、村の各家が描いてあり、赤く書いてあるところが蕎麦を打っている家との事だ。
おぉ、多くの家で蕎麦を打っている。
どこに入るか?ん?それ以前にひと気がまるで無い。
だれも外を歩いていないし、車も通らない。
聞こえる音もない、音が雪に吸収されているのか?それにしても無音だ。
何か不思議な感覚すら感じる。それは、この世には自分一人しか存在していないような、そんな気分。
とりあえず看板の有る家を覗く。暖簾もなく灯りも無いようだ。休業?
ひととおり各家の前から覗いてみたが営業しているようには見えない。
ひょっとして水曜日は休業日か!
(翌日あらためて調査したところ、宮古の蕎麦屋はほとんどが完全予約制(2~3日前までに予約)であり、予約無しでOKな蕎麦屋も”予約無い場合13:00まで”との但し書きがあった。(これでは仕事の合間には無理だ。)
水曜日はどの家(蕎麦屋)も予約がなかったのだろう。雪の季節の平日だから予約なくて当然だ。
考えてみれば、このような山里で飛び込みの客はそうは来ない、予約制にしたほうが効率的だろう。特に今は雪に埋もれる季節だ。一人蕎麦を食べに来ようなどという物好きはそうはいない)
本当に静かな山里である。また機会があったら来てみよう。
宮古地区以外に一の木地区も良さそうだ。
残念ながら時間の都合もある。しょうがない帰り道がてら山都町内に戻ることにする。
萬長に入ってみる。
ここは会津市内の和田や桐屋とともに会津蕎匠会(あいづきょうしょうかい)に加盟している。
さっそく入ろう。しかしお食事処と書いてあるのが気になる。”手打ち蕎麦処”ではなく”お食事処”
暖簾をくぐると、味噌ラーメンの匂いだ!なんてこった!まあいい、入ったし何か食おう。
蕎麦のメニュー以外にもラーメンや丼、定食などが充実している。
蕎麦は井戸水のみで打つ十割蕎麦と書いてある。高遠もある。
そういえば昨日から喉が痛い。風邪気味なのだろう。
ならば大根おろしがよさそうだ。高遠を頼むが怖いので並盛(730円)
蕎麦は悪くなさそうだ。
辛味大根の搾り汁と生醤油が付いてくる。
蕎麦は若干透明感がある。蕎麦のみを啜ると、喉越しがよい。が香りはさほど立っていないが悪くない。
辛味大根の汁に付けて啜る。美味い!辛味大根の汁だけで美味い。
一寸口直しに山葵~って期待できないよな、と思いながら箸の先に付け舐める。うん、期待どおりに外れだ。これは想定内だから特に腹は立たない。
ここで辛味大根の汁に生醤油を少し入れてみる
蕎麦を汁に付けて啜る。これは!?甘い!甘いのである。辛味大根の辛味が生醤油の甘さを生んでいる。
甘みだけではなく生醤油の旨みが生きている。醤油臭さは微塵も感じられない。
蕎麦湯はサッパリと。
まあ、美味かった部類なのだが、食べている間味噌ラーメンとかの匂いが鼻に付いたのが残念だった。
やはり蕎麦は蕎麦(他にあっても饂飩)のみの店が良い。
なにやらモヤモヤが取れない。
えーい、もう一軒だ!萬長では並盛だったので一寸足らない。もう一枚くらい食べたいものだ。
元祖手打ち蕎麦 やまびこ なる店を見かけ飛び込む。
ここも十割蕎麦だ。盛750円を頼む(大盛りは350円増しで、おかわりは580円増し)
店内は蕎麦屋らしくあり、蕎麦以外のメニューは無い。あぁ、気持ちが寛ぐ。
蕎麦が来た。盛なのになんやら乗っかっている。
右上の舞茸の天麩羅はサービスとの事。すごく嬉しい。舞茸の天麩羅は好物だ。
それ以外に、冷奴と椀。この椀のなかは水蕎麦だ。
水に自信があるのだろう。この地区の井戸水(又は湧き水)は周りの景色を見れば美味いのは確実である。
ということは、この冷奴も・・・・・・。豆腐は水が命とどこぞで聞いたような。
水蕎麦を啜る。いい喉越しの蕎麦だ。香りはさほど立っていないが、水がいい。
蕎麦を手繰る。透明感があり、若干平べったい。
香りの立ちはさほどない。喉越しは良いがちょっと水っぽい気がする。
切り方も一寸ご愛嬌の太いものが混ざる。ここまで太いのがあると、何か当たりを引いた気がする。
シラスのパックに入っていた小さいタコやイカ、蟹を見つけた時みたいで。
気になるのは、蕎麦の水がしっかり切っていないことだ。
よけい水っぽく感じてしまう。
サービスの舞茸を食す。汁に少し付け、かぶりつく、美味い!なんという肉厚だろう。美味すぎて写真を撮る事を忘れてしまった。
地元で取れたものなのだろう。実に美味かった。
山葵は見るからに期待できなさそうで、結果はやっぱりって感じになった。
山里の家庭で打つ蕎麦が原点なのだろうから山葵もこんな感じなのだろう。
この地区では素朴な蕎麦を楽しめばよいのだ。
汁の味を確認する。
やや薄めだが甘さが先に来て、魚の香りが強い。酸味、塩気は少なく、素朴な汁。
蕎麦を汁に付け啜る。
蕎麦の香りが高くないから汁の香りで食す感じになっている。
気取らない、農家で食べ続けられてきた蕎麦。
まさにそんな感じである。
蕎麦湯もサッパリとした後口が良いタイプ。
でも、やっぱり蕎麦の香りが口の中に充満し、咀嚼のたびに蕎麦の甘みが舌の上に重く加わっていく蕎麦が食べたいな。
あと、舐めると清涼な香りが体を突き抜ける山葵とキリッと締まった汁で。
おこぼれチョコのブラウニー [甘味]
バレンタイン間近の休日。奥さんは出かけていないが娘たちはチョコ菓子を作っている。
娘たちがチョコ作りに勤しんでいるのを見て、いや、その香りでチョコレート菓子が食べたくなった。
彼女らはクラス皆で友チョコの交換会をやるようで、大量のチョコレートと格闘している。
しかし、残念ながらお父さんの分はなさそうだ。
コストコで買った製菓用チョコは巨大でかなりが余っているし、こうなったら、この余っているチョコでブラウニーでも作るか。材料をかき集める。
チョコレート 100g
バター 110g
卵 2個(110g)
砂糖 110g
薄力粉 70g
食塩 ひとつまみ
くるみ 100g
バニラオイル 適当
ラム酒 好きなだけ
オレンジピール 気が向くだけ
を集める。
オレンジピールを刻み、胡桃は150℃のオーブンで5分程ローストする。
オレンジピールは手作りの頂き物だが、香りが高く、甘さも適度でとても美味しい。
チョコを湯煎に溶かし柔らかくしたバターを加えて混ぜる。
卵とバニラオイルとラム酒を入れて、ひたすら混ぜる。
薄力粉を振るい入れてヘラで混ぜる。
胡桃とオレンジピールを入れて混ぜて・・・・
180℃に余熱したオーブンに入れて、180℃で30分。
焼き上がったら、ハケでラム酒を好きなだけぬって放置。
放置してほっといたら帰ってきた奥さんに少し食べられてしまった。
逆だろうがあ!
香り高い十割蕎麦と柔らかな汁 那珂の蕎麦 十割そば 麦屋 [茨城の蕎麦]
日立市での仕事は予想外に早く片付いた。
これはラッキーだ。往路の逆コースを辿って昼は那珂まで戻って蕎麦にしよう。
十割蕎麦が食べたい。那珂市の麦屋が気になる。
6号をひたちなか市を目指し、市毛十字路で右折、那珂市に入る。水郡線を超えたら右折して旧道に入る。しばらく行って住宅地にはいると。。。。??無い。どこまで行っても無い。看板でもあると思ったのだが。
MapFanの地図だけが頼りだ。こまかくチェックすると茨木学園に入る道に行けば良さそうだ。
住宅地に入り込み探す。ん?蕎麦屋の看板だ。
ずいぶんと小さい。これじゃあ見落としそうだ。
さらに奥まった路地に入ると駐車場があった。その奥が門だ。
乳幼児お断りの札がある。まあ、静かに蕎麦を楽しめるという事か。
でも一寸気になる。この手の看板を掲げて美味かった店はあまり知らない。
ほとんどは”高飛車な事を言う程の味じゃないぜっ”て感じで幻滅する事の方が多い。
例外は御殿場の草季庵など、ほんとうに少ない。
とりあえず、試してみよう。中へ進む。
庭が広い。木々の間を抜け奥にある民家に向かう。いい庭だ。手入れしすぎて人工的すぎる訳でなく、手入れされず雑然としている訳でなく、良い案配だ。
いい感じの民家である。中に入ろう。
薪のストーブとか、オープンリールのテープレコーダーとか山水のアンプとか置いてある。
BGMは録音されたジェットストリームだ。涙が出る程懐かしい。
室内も良い雰囲気を醸し出している。
薪のストーブとお茶が心も体も暖めてくれる。
さて、何にするか。大盛りだな、やっぱり。
蕎麦がきや、蕎麦ぜんざいも食べたいが、残念ながら腹の空き具合はそれほどではない。
今朝ホテルで朝食を食べ過ぎてしまったのだ。バイキング朝食は食べ過ぎていけない。しかも朝カレーなど置いてあるからつい・・・・・。
大盛りをオーダー、(もり800円+大盛り300円)
細打で表面には星は無く、見るからに上品な蕎麦だ。
さっそく蕎麦のみを手繰る。蕎麦の香りが口の中に広がる。
喉越しも十割としては素晴らしい。下手な二八など足下に及ばない程だ。
咀嚼する。蕎麦の香りが増してくるのが判る。舌の上に蕎麦の甘みも重なってくる。
香りと甘みが咀嚼の度に増してくるのがはっきりと判る。思わず唸ってしまう。
例えば、昨日食し感動した満志粉の二八蕎麦と比べると、蕎麦を啜った時に口の中に充満する香りは満志粉の蕎麦の方が高く喉越しも素晴らしい。しかし満志粉の蕎麦は咀嚼しても香りは増さず、甘みも増えなかった。
麦屋の十割蕎麦は啜った時の香りは満志粉の蕎麦より少ないし喉越しも違う。しかし、咀嚼によって香り、甘みが増してゆく。どちらが素晴らしい蕎麦か?これは優劣ではない。好みの問題でもない。分野が違うのだ。
つまるところ、二八という分野と十割という分野。それぞれの分野での優れた蕎麦なのだ。
口直しに山葵を舐める
残念だ。山葵が・・・・。
テーブルを引っくり返したくなるような気持ちになったり、食して不機嫌になるような粗悪な山葵ではないが、香りが弱いし瑞々しさが足らない。蕎麦が素晴らしい故に粗が目立ってしまう。
是非とも蕎麦のクオリティに負けないぐらいまでに引き上げてもらいたいものである。
汁を口に含む。柔らかだ。甘みが酸味を包み込み塩気はあまり感じない。輪郭はソフトフォーカスかけたみないに柔らかで優しい。硝子細工ではなく白磁、いや青磁の地肌を連想した。
蕎麦を汁に付け食す。蕎麦の香りと甘みが汁の旨味と美味く絡まっている。
これが十割の強みか!汁を付けても汁の香りに負けていない。むしろ蕎麦の甘みが引き立つ。
汁無しで啜り、汁を舐める程に口に含み半分の量を食し、残り半分は汁に付けて食し堪能した。
蕎麦湯はサッパリしているが香りは高く美味しい。
すばらしい香りと喉越し ひたちなかの蕎麦2 満志粉 [茨城の蕎麦]
今回の出張は茨城の日立市。明日朝からの仕事のため本日中に現地へ移動しておけばよい。
移動途中で夕食として蕎麦を堪能することにする。
那珂ICで降りて、一般道で日立を目指すことにする。その途中で蕎麦を楽しもうという作戦だ。
”那珂市”界隈か、それとも”ひたちなか市”界隈か迷うが、ロケーション的に行きづらい満志粉に行く事にする。
時間に余裕があるときでないと、行く事がロケーション的に辛いからだ。
今回のように余裕があることなど、そうは無い。せっかくのチャンスである。
高速から118そして38へ。38から6号にはいり佐和駅のほうへ曲がる。それからが迷いそうで不安だ。市道をひたすら進む。
以前、満志粉へ行ったときは臨時休業(正月休み?)だったので今回こそはと意気込む。
暗くなり、以前昼間に来たときと景色が違い戸惑うもなんとか到着する。
夜の部が開店したばかりらしい。客はまだ誰もいない。
まずお茶。冬は熱いお茶がうれしい。
何を頼むか。
十割蕎麦(1000円)もメニューにあるが、残念ながら土日限定だ。
じゃあ、田舎(700円)か?しかしまだ有るのか?昼間で完売しているのでは?聞けばやはり完売とのこと。
このほか蕎麦がきも完売。やはり夜に来てはいけない。昼の部開店早々に行かねば好きなものを食する事ができない。まぁ、オーソドックスに盛り蕎麦も良いだろう。盛り(700円)を大盛りで頼む。大盛りは200円増しだ。
おぉ、なんと綺麗な蕎麦だろう。
見事な細打ちである。
見るからに美味しそうな表面をしている。
蕎麦のみを手繰る。!!!!なんという香りの高さだ!啜った直後、口の中は蕎麦の香りが満ち溢れる。
これは堪らない。続けて蕎麦のみですする。素晴らしい喉越しだ。
いや香りを楽しもう!咀嚼して香りを楽しむ。しかし、この蕎麦、香りを一番楽しめるのは啜った直後だ。咀嚼はそれほど意味はない。
山葵を舐めてリフレッシュをはかる。山葵の香りが舌先と鼻腔に心地よい。
山葵も素晴らしい。やはり美味しい蕎麦を出す店は山葵や葱を蔑ろにしないものだと確信した。
汁のみを口に含み確かめる。
わずかに薄めだが酸味、甘みは少なく、辛口。引き締まっているが角はなくまろやか。洗練された凛とした汁である。
好みの味だ。やはり引き締まった汁の方が好きだ。尤も引き締まっていても角があってはいけないが。
蕎麦を汁に僅かに付け手繰る。美味いが、蕎麦の香りが汁の香りの分感じなくなってしまう。
おそらく、ここの蕎麦だから感じる事だろう。蕎麦のみで啜ったときの香りが鮮烈だったからこそである。
この店の蕎麦を一番堪能できる方法をいろいろ試したが、汁を付けないで啜るのが一番よい。その方法とは、
まず、汁を付けないで一気に啜り、蕎麦の香りを楽しむ。
啜ったら蕎麦を数度咀嚼し香りを確認し甘みを楽しむが蕎麦は口内に押し留めておく。
この状態で汁を舐めるほどに飲み、咀嚼しながら蕎麦とあわせ、蕎麦の甘みと汁の旨みを楽しむ。
山葵を舐めて口内をリフレッシュする。
これを繰り返すのである。
見事な蕎麦であった。細打ちというだけなら他の店でもっと細い蕎麦もあったが、やはり香りは弱かった。
蕎麦の香りが高くても、蕎麦が太すぎれば喉越しは良くない。(尤も確信的に太く香りを強くする場合も多いが)
蕎麦湯
濃すぎず、薄すぎず。蕎麦湯だけで飲んでも香り高く、そのまま飲める。香り高いが、飲んだ後は後口はサッパリしている。
寒い朝にステアリングの感触が違う? A4 [バイクと車]
ここひと月、A4は寒い朝にエンジンをかけると妙に音がうるさい。ベアリング鳴りみたいな音である。
ファンのベアリング?でも音が鳴っているのは冷えているときだけだ。ベアリングなら冷えたとき暖まったときも温度にかかわらずいつも鳴っているだろうし。
音がうるさいときは右左折でステアリングに違和感がある。でも暖まれば違和感は消える。
なぜだろう?症状から感じるにパワーステアリングオイルの気がする。
確かめよう。
見ると、キャップがやたらある。クーラントにウオッシャー、エンジンオイル・・・・これか?ステアリングの絵が書いてある。
開けようとするが開かない。妙に固い。逆まわしか?時計方向に回してもびくともしない。
タンク横から液量が見えそうだが見えない。しうがない、ディーラーへ電話して開け方を聞く事にする。
なんと、専用工具が無いと開かないらしい。
しょうがない、いくか。A5Sportbackも見たいし。
ディーラーで確認したら、症状の原因はステアリングオイルの量が不足したためとのこと。タンクのレベルゲージの下限目盛りにも到達していない量だったらしい。
手作りの器で食す粗挽き生粉蕎麦 甲府の蕎麦 専心庵 [山梨の蕎麦]
今日の出張は山梨韮崎、客先へ入る前に蕎麦探求。
今回は韮崎ICの一つ手前の昭和ICで降りる。
目的地は専心庵。MAPFANの地図をたよりに進む、とある夢庵のある信号で住宅地にはいる指示。
が、夢庵が無い?しばらく周辺を探すが、どうやらガストに変わってたらしい。
この信号を住宅地のほうに入る。
住宅地といっても、古い区画がそのままの路地である。一通ではないが、対向車きたらすれ違うことは不可能だ。
場所柄、武田の時代からの区画がそのままのこっているのだろうか?
住宅地を進むと店はあったが、時間が早く駐車場も開いていない。
路駐する場所もないので周辺を探索・・・・・・・が、路地が迷路だ!狭いし入り組んで、袋小路で・・・・とりあえず時間は潰した。
開店と同時に店に入る。
お茶ともう一皿が出される。
湯のみや皿などの陶器は店主の作だそうだ。いや、いい器だ。手になじむ。
これは、蕎麦の蒸饅頭のような餅のような?蒸したものだが、饅頭にしてはムッチリとして餅っぽいし、餅にしてはフンワリとした感触。不思議だ、とりあえず食す。柔らかな蕎麦の香りとほのかな甘みが気分を和ませる。
さて、蕎麦は何にするか?
十割は限定粗挽生粉(1050円)と生粉(840円)があり、他には田舎の二八(840円)がある。
この十割の二種類は悩ましい。と、横を見ればセットメニュー。
限定粗挽生粉と生粉の二色盛だ。(1260円)蕎麦豆腐も付いてくる。
確定した、これをください。
蕎麦豆腐の添え物を尋ねられる”山葵ですか?黒蜜ですか?きな粉ですか?”
”・・・・・?お豆腐ですよね?”と尋ね返すと
ええ、葛を合わせてありますので。”とのこと。どうやらデザートだったようだ。
店内は座敷で、入り口で靴を脱ぐ。そして禁煙、これは嬉しい。
蕎麦がきた。まず粗挽きからとのこと。
いや、見るからに粗挽きである。
蕎麦のみをすする。細いが粗挽きのためか引っかかる。
咀嚼すると粗挽きらしい野趣溢れた風味を感じる。噛み応えも特徴的な食感だ。
つぶつぶがよくわかる。
汁を確認する。割と甘めだが、後口はよい。酸味と塩気は強く押してこない。ダシの香りも程ほどで蕎麦の邪魔にはならない。輪郭はソフトフォーカスな柔らかな汁である。
粗挽きを汁に付けて啜る。
?!!蕎麦が強い!なんという強い蕎麦なのだろう。
細打ちゆえ、汁を少なめに漬けたが完全に負けてしまった。
この粗挽き、汁を用いて食すのではなく、むしろ粗塩を降って食したいと思わせるほどの強さであった。
粗挽きを堪能していく、粗挽き蕎麦が無くなる直前に生粉蕎麦が出てきた。
食べ終わるタイミングで出してくるとは心憎い気配りである。
二色盛のセットを頼むと、二色が盛られた状態で出してくる店が多い中、一品づつ出してくるとは素晴らしい気遣いである。手間もかかる事をあえてやるのは、美味い蕎麦を味わって頂こうという店の心意気であろうし、作り手の真摯な姿勢を感じる。味わうほうも気を抜けない。
こちらは粗挽きに比べ穏やかで、香りも高い。噛み応えもモッチリ心地よく、ボソボソ感は微塵も無い。
そして喉越しも素晴らしい。
が、やはり一気に喉の奥に送ってしまうのは勿体無い。咀嚼して蕎麦の甘みを味わう。
口直しに山葵を舐めながら食べ進む。
山葵の香りも申し分ない。鮮烈な刺激と清涼な香りが体を突き抜ける。
蕎麦湯が来た。
蕎麦湯?蕎麦粥では?というぐらいドロドロで粒粒も見える。
粗挽き蕎麦湯?を汁に入れてみると、
蕎麦湯を入れているというより山掛けの芋を注いでいるみたいな感じである。
やっぱり山掛けみたいだ。
飲むと蕎麦の甘みがしっかりと出ている。
蕎麦湯だけで注いで見る。
蕎麦湯だけでも甘く、モッタリとして、香りもあり美味しい。
蕎麦豆腐が出てきた。
黒蜜にきな粉だ。甘党には嬉しい限りである。
葛の食感と蕎麦の香りがなんとも良い。黒蜜ときな粉の相性も文句無く美味しい。
(そういえば黒蜜ときな粉といえば、このあたりじゃ信玄餅があったが)
今週は素晴らしい週であった。満足いく蕎麦を二度も味わえたのだから。
埼玉深谷の遊歩、そして山梨甲府の専心庵。いずれも必ずや再訪をと心に誓った。
今度は三色盛(蕎麦づくし 1890円)をオーダーしようと心に誓い店を後にした。
舌の上に満ちあふれる蕎麦の甘み 十割のこだわり 深谷 石臼挽き十割純手打ち蕎麦 遊歩 [埼玉の蕎麦]
今回は熊谷への出張。環八の渋滞を予想して早めに出かける。が、妙に空いている。
第三京浜、環八、関越すべて空いている。こんな日もあるんだな。。。と思っていたらFMから今日は雪になる模様で・・・・・というDJの声。そうか!これか!それで道が空いているのか!と納得。ということは今日の仕事は早めに片付けなければ帰られなくなる可能性がある。
いずれにしても昼ご飯は蕎麦にしよう。想定より早く到着してしまったので隣町の深谷の蕎麦を楽しむ事にする。評判が気になっていた店がある。それは遊歩。熊谷から深谷方面へ進路をとる。地図を頼りに進む。(仕事の車にもナビが欲しいものだ)
結婚式場の先の煎餅屋が目印で、脇に遊歩の案内板があり、脇道に入れば看板がある。
まだちょっと開店には早いようだ。車を遊歩の駐車場に停め、隣の煎餅屋(おせんべいやさん本舗)でお徳用黒胡椒せんを買い開店を待つ。
車の中で後を引く黒胡椒煎餅を頬張っているとご主人がやってきて開店を知らせてくれた。
と同時に店に入る。
おお、よい雰囲気である。テーブルが手前に二つ、窓際にカウンター状のテーブル、そして写真に写っている座卓である。店の大きさも手頃だ。
メニュー見て感激した。十割蕎麦が三種類から選べる。しかも価格も良心的だ。
100%八ヶ岳山麓産の蕎麦の十割蕎麦である。
セイロ 750円 大盛り250円増 お替わり500円増
甘味粗挽き蕎麦 750円 大盛り250円増 お替わり500円増(限定10食)
太打田舎蕎麦 800円 大盛り250円増 お替わり500円増(日曜、月曜限定)
何と良心的な設定だろうか。それぞれに説明文が添えられているが、これらを読むと実に迷う。
悩みに悩んだ末、田舎蕎麦の大盛りに決めた。限定の文字に弱い。最後まで甘味粗挽きと田舎で迷った。後で考えれば、田舎蕎麦と甘味粗挽きの両方を食せばよかった。
まあ、太打で蕎麦の香りをガツンと味わいたかったのが理由である。
お茶が出される。
ほうじ茶、と、小皿か付いてくる。
中は蕎麦の揚げたものに粗塩がふってある。
食べてみるとこれが実に美味い。蕎麦の香りが口の中に広がり塩味のアクセントと油のコクが絶妙に加わる。歯ごたえも心地良い。
一本一本楽しみながら食べていると蕎麦がやってきた。
おお、やっぱり太いな。
蕎麦の太さと割り箸の太さが一緒である。
蕎麦の香りを嗅ぎ、蕎麦を口に運ぶ。試しては見たが、やはり啜れない。
蕎麦の香りが口の中に広がり、噛み締めれば蕎麦の甘みが舌の上に満ちあふれる。
蕎麦は固すぎずモッチリとして、この太さなのに顎は疲れない。
十割でこの太さなのに固くなくモッチリだ。これには驚いた。
ボソボソ感は全くない。見事な蕎麦だ。普通の太さの蕎麦も是非試してみたいと思わせる蕎麦だ。
蕎麦の甘みを噛み締め蕎麦が進む。ここらで口直し。山葵を箸に付け舐める。
素晴らしい。見事な山葵だ。香り、辛み申し分なしだ。
薬味皿には辛み大根と、さらした葱も添えられる。
大根を食す。鮮烈な辛みが蕎麦の甘みでダルになった舌先をリフレッシュする。
大根も素晴らしい。
ああ、いい仕事しているな、と食べていて嬉しくなってくる。
汁の味を確認する。
うん、何も言う事は無い。美味い。
薄くない。この太さの十割蕎麦に負けていない。かといって辛い訳でもない。そして甘みが後口に残る事も無く、輪郭はぼやけずはっきりしている。
これは細打でも合うだろうし、太打でも負けない。漬ける量を調節すれば良いのだから。
至福の一時を楽しみつつ、メニューを見直すと蕎麦がきが400円とある。
なんとリーズナブルだろう。思わず追加オーダー
ちょっと小さめだが価格からすればこれでもお値打ち。
生醤油と粗塩が添えられ、蕎麦がきの上には山葵。
ねっとりとした香り高い蕎麦がきを楽しみ最後は蕎麦湯で締める。
さっぱりとした蕎麦湯は口の中をリフレッシュしてくれる。
いやはや、見事な蕎麦だった。
田舎蕎麦の大盛りと蕎麦がきを食したが、まだ食べたい。せいろ大盛り、甘味粗挽きの大盛り。
今度来たら三種類全部とかいいな。
これからは熊谷、深谷で仕事があった場合は必ず寄ろうと決心した。いや、仕事を作ってでも来ようと思わせるものがある。もちろんこの店の定休日の水曜日と木曜日は除いて。